「京都の人は何でも山椒をかける」と、東京の方に言われたことがあります。
それまでは全国の人が同じように山椒を何にでも使っていると思っていたのですが、どうにも違うらしい、とそこで初めて知りました。
京都では、山椒の小さい木が鉢植えか地植えである家が多く、春は木の芽を楽しみます。これまた京都人の好物、筍には木の芽はかかせません。
私の子供の頃の仕事は、夕食の時間になると家族の人数分の木の芽を鉢植えの木から収穫して、掌に載せてパチン!とたたく、というものでした。
その次の季節は花山椒。山椒の花が咲く一瞬にしか出回らない、短期間のご馳走です。花山椒は牛肉と一緒にしゃぶしゃぶでいただくことが多いですが、これはお料理屋さんでのご馳走で、庶民はなかなか口に入りません。
庶民が毎年欠かさず口に出来るのは、実山椒。
知り合いからもらうことも多いのですが、八百屋さんでも出回ります。ただ、綺麗に実山椒だけが並んでいるものを買おうと思うと少量で高価なので、庶民は房付き、枝付きのまま買ってきて、プチプチと一粒ずつはずしていきます。
これがなかなか根を詰める作業で、我々は「京都人の苦行」と呼んでいます。
面倒だけど、美味しいもののために頑張る!
時間をかけて一年間使う分をプチプチして、さっと茹でて冷凍保存。
これでいつでも京都人のソウルフードのちりめん山椒が作れる、と一安心。塩漬けにしたり、お醤油で炊いてお魚にでもお魚にでもかけたり・・となんでも使える優秀な実山椒です。
今年も苦行を終えて、小さい緑の粒々が冷凍庫の中にどっさり。安心の笑顔で一年間過ごせそうです。
お土産にも人気のちりめん山椒で、昔から人気があるのは「はれま」さんと「永楽屋」さん。「永楽屋」さんは一口椎茸も美味しい〜。大きいおはぎも。